マグネットBlog
第1回
「牛マグネット」その1
牛に磁石を呑み込ませ、クギや金属から牛の胃を守る
牛は鉄分補給のため、牧場に落ちているクギや金属を食べてしまう習性があります。ところが牛の胃は激しい収縮を繰り返しているので、食べた釘や金属が胃に突き刺ささり、牛が急死してしまうことがありました。
これを防ぐため、牛に磁石を飲み込ませ、磁石に金属の異物を吸着させることが考え出されました。
従来はアルニコ製の磁石を飲み込ませていましたが、当社がフェライト磁石とヨーク(鉄)を組み合わせてヨークに磁束を集中させる新しい磁気回路を開発、より安全な牛マグネット、リューマックス21Cが誕生しました。
マグナが独自に開発した6ポール着磁の牛マグネット、リューマックス21C
上が異物を吸着したリューマックス21C、下が従来品のアルニコ磁石。クギが外へ飛び出している
リューマックス21Cは、放牧牛に飲み込ませ牛の胃を守る牛用磁石の改良型として、マグナが独自に開発した牛マグネットです。
従来のアルニコ磁石製の牛マグネットは棒状あるいは筒状の形で一対のN極とS極でできた単一の永久磁石に過ぎませんでした。磁極が両端部にのみに存在するため、着磁力が充分でないばかりか、両極部分に吸いついた金属製異物が磁石両極から外の方に突び出してしまい、臓器を傷つけることがありました。
リューマックス21Cはヨークに同極の磁石を2個配置し、より高い磁力と、NとS、6ポール磁極で金属異物の飛び出しを防ぎ、牛の臓器を守ります。
なぜ牛は釘や金物を食べるのでしょう?
アメリカの西部劇の映画を見ていると、蒸気機関車が牛達の群れに遭遇し、急停車する場面があります。これは牛の群れが線路のサビを好み、立ちふさがってサビを舐めているからです。牛は鉄サビが好物なのです。
ではどうして牛は鉄サビが好物なのでしょう。終戦前後の食糧難の時代、主食の米が入手できず、代用でイモやカボチャを主食としていた頃がありました。イモやカボチャををたくさん食べると、ムネが焼きつくように痛みます。そんな時、重曹を飲むと胃がスッキリしたものです。
それと同じように、野菜が主食の牛は、胃が焼けるようなことがあるのではないでしょうか。重曹を飲むように、鉄サビを食べると胃がスッキリするのではと考えられます。
牛の第1胃に留まり、牛の寿命を守る
リューマックス21Cは牛の第1胃(Rumen)に留まりクギや異物を吸着する
乳牛(ホルスタイン)は生後7ケ月で乳が出ます。寿命は約7年なので、寿命を全うせずに死亡することは牧場主にとって大変な損失です。そのため生後4ヶ月ぐらいで、この牛マグネットを牛に飲ませます。
牛の胃は4つあって、食べたものを次々に搬送して消化しています。しかし、リューマックス21Cは直径19φミリ、長さ80ミリ、重量は100グラムあるので第1の胃、リューメン(Rumen)に留まります。ここで1分間に約2回回転して、飲み込まれたクギや金属をしっかりと吸着、胃を異物から守ります。
リューマックス21Cの登場で、異物から受ける牛の胃の損傷を100パーセント近く解消することに成功しました。