マグネットBlog
第16回
京都大仙院宗園和尚の檄文「今こそ出発点」
京都大徳寺大仙院との出会い
マグナの製品カタログの裏に筆で書かれた一文が印刷されています。これは京都大徳寺大仙院の和尚さん、尾関宗園氏直筆による書で私がマグナ創業時に直接書いて頂戴したものです。
大徳寺大仙院と私との関わり古く、私がまだ20代で、東京の磁石会社の営業として飛び回っていたときに始まります。当時、月に1度は大阪に出張があり、よく京都のお寺をお参りして帰りました。大徳寺の大仙院に寄ったときでした。娘さんを亡くしてして気を落とし、お寺参りしている方と出会いました。私とのお話に少しは気がまぎれたようでした。
その後、その方が大手商社の社長と知り、その事を先代の南岳和尚に話すと「ここにお参りすればいろいろな方に会えますよ」と言われました。それから出張のたびに大仙院に寄るようになったのです。
宗園和尚のお言葉でマグナ創業
そして49歳のとき、転機がやってきます。当時勤めていた会社営業方針に疑問を抱くようになり、独立して事業を始める機会を探っていました。しかし、どうしても一歩が踏み込めず、すでに懇意にして頂いていた京都大仙院の和尚さんに相談に伺うことにしました。
先代の南岳和尚には現在の会社に踏みとどまるよう説得されましたが、現宗主の宗園和尚には「会社に戻っても前のようには戻れない。ここで独立して事業を始めた方がよい」と背中を押していただきました。その時頂いたことばが「今ここで頑張らずしていつ頑張る、今こそ出発点」のお言葉だったのです。この檄文で私のこころは決まり、マグナを始めることができました。
「カタログの檄文に励まされました」
このことばを製品カタログの裏にのせている理由は創業時の初心を忘れないためです。ある時、カタログを送ったとある大手電気メーカーの開発課長さんから手紙を頂きました。この方は病気の母親がおり、看病に疲れていた時「今ここで頑張らずしていつ頑張る」の檄文に出会い、たいへん励まされたそうです。「母親が亡くなってから頑張っても遅い、今が頑張り時なのだと再び力が湧いてきました」と書かれたお礼の手紙だったのです。
今でも、この檄文に激励されたというお客様からお礼のことばを頂くことがあります。私も時々カタログの裏を見つめて、創業当時の気持ちを思い出します。