マグネットBlog
第5回
電器ポットの磁石式差込みプラグ
電器ポットの事故
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電気ポットには必ず使われている安全プラグ
個人的なことで恐縮ですが、私たち夫婦は東京オリンピックのあった昭和39年10月10日に挙式を挙げました。そして、一年後には無事長男誕生。子育てが始まりました。母乳だけでは足りないときは、粉ミルクを買って、ヤカンのお湯と水で温度を調合して与えていました。しかし、女房は適温のミルクを作るのに苦労し、お酒の熱燗を作るようにはいきませんでした。
しばらくすると、ある電器メーカーが、小型のミルク用の電器ポットを売り出し、これが爆発的に売れました。ところが、半年後にこの電器ポットが新聞ニュースに大きく取り上げられられることになったのです。ポットの差込みプラグのコード線をハイハイしてきた赤ちゃんが引っかけ、ポットが倒れて熱湯で赤ちゃんが大やけどをしたのです。その後同じような事故で死亡したケースも何件か発生し、社会的問題となりました。
磁石式差込みプラグで安全性が向上
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異方性フェライトを使ったマグネットキャッチが使われているプラグ部分
しばらくすると、私共の出番が廻ってきました。ある電器メーカーから磁石を使って、取り外しできる差込みプラグを考えて欲しいとの要望があったのです。そして採用されたのが、現在のキャッチ式マグネットの差込みプラグです。
ある程度の引っ張り強度までは確実に接続され、それを超えると簡単にはずれる仕組み。何回もテストの結果、マグネットは異方性フェライトの15×12×4mmの大きさの角型、それを鉄のヨーク2枚でサンドイッチにしたマグネットキャッチ式に決まりました。この磁石式差込みプラグは現在も広く使われています。