磁石ご使用上の注意事項

磁石(マグネット)のご使用上の注意事項

警告

  • ペースメーカーなど電子医療機器を装着した人、およびその他の電子医療機器へ磁石を近づけることは大変危険です。医療機器の正常な動作を損なう恐れがあります。ご注意ください。
  • 磁石を飲み込まないように注意してください。磁石を飲み込むと窒息や臓器が壊死する危険があり、体内で滞留すると、開腹手術が必要になる恐れがあります。万一、飲み込んだ場合は直ちに医師にご相談ください。誤飲防止の為、お子さまの手の届くところに磁石を置かないでください。(関連リンク

注意

  • 磁石には多種多様な金属が含まれております。触れた際、皮膚が赤くなる、腫れるなどのアレルギー反応が見られましたら、磁石に直接触れないでください。磁石の成分が水に溶けだす場合があり、腹痛などの症状を呈することがありますので、磁石をなめたり、磁石に触れた水は飲まないでください。
  • 磁石を近づけると磁気記録媒体(フロッピーディスク、磁気カード、磁気テープ、プリペイドカード、切符、MDなど)の記録が破壊されたり、磁化されて使用できなくなることがあります。近づけないでください。
  • 磁石を各種電子機器、映像機器、通信機器(スピーカー、CD・DVDプレーヤー、ブラウン管、携帯電話、時計など)に近づけると、正常な動作が妨げられたり、故障につながることがあります。近づけないでください。
  • 磁石を電子制御機器に近づけたり航空機に持ち込むと計器盤、制御盤に影響し、故障や事故につながることがあります。近づけたり持ち込まないでください。
  • ネオジム磁石などの強力な磁石を、パソコンの近くに置くとHDD部品の故障の恐れがあります。近づけないでください。
  • 時計に磁石を近づけると、駆動方式(アナログクォーツ時計、スプリングドライブ、機械式時計)によっては時計が遅れたり進んだり、正常に動作しなくなることがあります。磁石を近づけないでください。デジタルクォーツ時計に関しては、影響がないと聞いておりますが、詳細は各時計メーカーへお問い合わせください。

設計

  1. 異方性磁石では磁化方向により、磁気特性は大きく異なります。設計に当たっては、異方性の方向にご注意ください。
  2. カタログの磁気特性値はご使用時の保証値ではありません。磁石は、ご使用になる寸法、形状などにより、カタログ通りの磁気特性値が得られない場合があります。事前にサンプルなどでご確認ください。
  3. 磁石は一般に加熱することにより、磁化の大きさが低下します。さらに、キュリー点で磁化を失います。低下の割合は使用される動作点によっても大きく変わります。温度特性を参照して、組立時または使用時に温度が上がり過ぎぬよう、またできるだけ減磁が少なくなるような磁気回路設計を行ってください。
    フェライト磁石は、材質・形状によっては低温度で減磁するものもあります。ご使用になる温度での材質特性を必ずご確認ください。
  4. お客様で磁石の磁化(着磁)をされる場合、材質及び保磁力に応じた十分な磁界を与えてください。磁界の強さが不十分な場合、設計通りの磁気特性が得られないことがあります。磁化に必要な磁界の大きさについては弊社にご相談ください。
  5. 耐候性については、各磁石の材質によって異なりますので、問題が予測される場合には、予め防錆などについて弊社にご相談ください。(下記「保管」第4項も併せてご参照ください。)
  6. お客様で切断または分解などの加工をされる場合、磁石特性の劣化、着磁不良などが生じることがありますので、お止めください。なお、お客様で加工される場合、加工中や使用中の欠けや割れ発生に対する保証は致しかねます。
  7. 磁石は硬く、脆い性質を持っています。自動車など振動が加わるような用途に使用される場合は、ヨークに接着するなど強度を維持するとともに、万一割れても脱落することのないよう設計にご留意ください。
  8. 磁石と磁石、ヨーク、ポールピースなどとの接合に接着剤を使用する際には、接着剤の種類、量、接着条件、強度などを十分検討し、信頼性をご確認ください。
  9. モーターなど高速回転体では、磁石が破壊される場合があります。設計に当たっては、万一破壊しても破片が飛散しないような措置を講じてください。
  10. 圧入、焼きばめなどの加工をする時は、磁石の特性が劣化したり、磁石や相手材が割れるなどの恐れがあります。必ず事前にサンプルでご確認ください。
  11. 漏洩磁束は他の機器に影響を及ぼす場合がありますので、出来るだけ漏洩の少なくなるよう磁気回路を設計してください。

組立・取扱い

  1. 着磁された磁石は、強い吸引力(または磁石間の反発力)があります。磁石と磁石、あるいは磁石と鉄片、ナイフ、はさみなど磁性体との間で、手・指が挟まれ、思わぬ怪我をすることがあります。また、吸引力(または磁石間の反発力)による強い衝撃で、磁石が割れて飛散し、破片が目に入る危険性があります。手袋や保護メガネなどの着用や適切な治具を使用するなどして、取り扱いには十分ご注意ください。
  2. 磁石のシャープエッジで手・指などの怪我をすることがあります。取扱いには十分ご注意ください。
  3. 空芯コイルを用いて着磁する場合は、磁石がコイルから急激に飛び出し、怪我の原因となることがあり危険です。安全のため、磁石はコイルの中心部に置き、固定してください。
  4. 磁化された磁石を重ねる場合は、磁石が離れにくくなったり、欠けたりすることがあります。重ねる場合には、間にスペーサーを挟み込むことをおすすめします。
  5. 切り出し用磁石を加工する時、切り粉が自然発火する恐れがあります。切り粉について下記事項に留意してください。
    ① 火気及び可燃物は絶対に近づけないでください。
    ② 電気掃除機は使用しないでください。
    ③ 発火した場合に備え、粉末消化器、砂などを用意してください。
  6. 着磁された磁石を交流、直流磁界に近づけると、減磁することがあります。磁力の強いネオジム磁石やサマコバ磁石を、フェライト磁石、アルニコ磁石、ラバー磁石に吸着させたり、反発させたりしますと後者の磁石が減磁することがありますので、取り扱いには十分ご注意ください。
  7. 着磁された磁石は、鉄粉などのゴミを吸着しやすいので取扱い環境に注意してください。組み付け後、洗浄を必要とする場合があります。
  8. 磁石をヨークなどに接着する場合は、接着後に機械的な歪みが残らぬような接着剤及び接着方法を選んでください。残留応力がかかったまま使用されますと、わずかの衝撃で磁石が割れることがあります。接着面に油、汚れなどの異物が付着しないようご注意ください。接着力が低下して、脱落する場合があります。
  9. 磁石は衝撃に弱く、欠けや割れが発生しやすいので取扱いに注意してください。取扱い中に欠けや割れが発生した場合、特性劣化や強度劣化の恐れがあります。また、割れた破片が目に入ったり、破片で怪我をする場合がありますので、ご注意ください。
  10. ネオジム磁石は吸着などの外部衝撃で表面処理のメッキや塗装などが剥がれると、磁石に錆が発生します。磁石をぶつけたり、落としたりしたときは、メッキや塗装が剥がれていないことを確認してからご使用ください。また、メッキや塗装が剥がれたものは使用しないでください。
  11. 磁石の微小な欠けや割れでは磁気的な影響はありません。ご購入後、お取り扱いの中での欠けや割れについても責任を負いかねますので、ご了承ください。

保管

  1. 磁石は、一般に欠けやすい材質が多く、取扱いに注意が必要です。衝撃が加わることのない様な場所に保管してください。
  2. 着磁されている磁石には、着磁されていることを明示の上、木箱など、非磁性材料でカバーをしてください。
  3. 錆などの発生を防ぐため、水蒸気の露点以下の温度での保管を避け、また、雨水などがかからぬようご注意ください。表面状態、物理特性、磁気特性が変化することがあります。
  4. 次のような環境での使用、保管は避けて下さい。磁石の腐食や、特性及び強度劣化の原因となります。
    • 腐食性ガス(Cl2,NH3,SOx,NOxなど)
    • 導電性の高い環境(電解質を含む水中など)
    • 水素雰囲気中
    • 酸性、アルカリ性、有機溶剤など
    • 水中、油中
    • 高温多湿の環境
    • 露天の屋外
    • バックグラウンドレベルを超える放射線